写真作品 【徒然星-Tsurezureboshi】2016

写真作品【徒然星-Tsurezureboshi】2016

2013年ぶりとなる展示は、日常をiPadで撮影し、iPad内で加工、そのまま直ぐにインスタグラムにアップするという現代の多くの人々が楽しんでいる方法を使いました。それは、私の毎日をあてもなく綴った随筆のようであり、私小説とも言えます。タイトルは吉田兼好の「徒然草」からとりましたが、作品を作ろうというあてもないまま毎日を過ごして心の赴くままに写真を撮っていることを表しています。

尊敬するギャラリストの石原悦郎氏の追悼展への参加とも重なりましたが、私は石原さんに言って頂いた言葉を反芻しながらこれまでやってきました。それは星男を始めることにも繋がるのですが石原さんに言われた事とは「写真(作品)が生きてない」という事でした。前に座る私の方が面白いと。

ツァイトフォトで初めて個展をやらせてもらい、そのあと半年位篭ってある作品を作っていて観て頂いた時の言葉だったので写真が生きるという事の意味が全くわからなくなってしまった私は実生活を思い切り生きようとお店を始めたり外に出る事にしました。

気がついたらお店作りに夢中になって5年が経っていて、私は作品を作らなくなっていました。

今回、展示をしようと決めて過去の作品を出そうと思っていた私でしたがiPadの写真をふと見てみると、毎日相当な量の写真を撮っていたのでした。

iPadの中で写真と遊んで直ぐにアップすると、タグ付けされたテーマを見ている世界の人がコメントをくれたり、反応を見せてくれました。

それは、久しぶりに感じる作品作りの面白さでした。

写真が生きるということはまだわかりませんが、私が生きている間にふとそれは生まれおちていて、私は考えずに夢中になることが楽しい。そんな気持ちになれたことが一番嬉しいことでした。そして石原さんに言われていなければ、今の私はいなかった。石原さんに心からの感謝を捧げます。

(Numeroブログより抜粋 2016.10.03)