【蝶次元コメント】高谷丘人(専門学校教師)

神保町画廊で櫻田宗久写真展「蝶次元 此岸と彼岸の間で」。櫻田宗久はモデルとしてデビュー、俳優、歌手として一斉を風靡した後、写真家に転身、写真家のメッカであったツァイトフォトサロンで作品を発表するまでになった。

今回のタイトルの由来は文楽の「契情倭荘子」にあるという。恋仲の二人が死んだあと蝶になるという比喩にインスパイアされ、被写体である裸の男たちを蝶に見立てて表現する。標本にされた蝶のごとく、フレームが木枠のオリジナル。素晴らしい。

彼が初めて発表した作品は、パートナーの男性のヌードだった。そのインティメットな表現から、ツァイトやポスターハリスでの展示は、凝ったデジタル加工のポップなポストモダン的作品に変貌していく。

今回はモティーフとしては初期のメールヌードに回帰し、表現としてはデジタル加工にこだわった。デジタル加工の色彩の美しさ、そしてピッキングしたような人工的な線、それが違和感なく見事に融合している。写真を素材として使用しているものの、表現手段はモダンアートのそれだ。僕がもし若手現代美術の登竜門であるVOCAの推薦委員だったら、迷わず櫻田宗久を選ぶだろう。

モダンアートの今までにない新たな表現の登場に脱帽した。

高谷丘人(専門学校教師)

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